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2020.7.1デジタルセラピューティクス事業
MICINとテルモ デジタル治療支援システムの共同開発を開始~糖尿病領域で患者の行動変容を支援~
株式会社MICIN(マイシン、本社:東京都千代田区、代表取締役:原聖吾、以下MICIN)とテルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎、以下 テルモ)は、糖尿病治療支援システムの共同開発・事業化に向けた業務提携に関する基本合意契約を締結致しました。
本提携により、両社は糖尿病治療および予防領域において、患者の生活習慣データやPHR(*1)を活用し、効率的に患者の行動変容を支援するアプリケーションの開発および事業化を進めます。本事業では医療機関と連携し、医師が患者の生活習慣や状態変化等を把握した上で外来診療を行うことで指導効率を向上し、患者の行動変容を支援することで生活習慣の改善を目指します。
■糖尿病の現状
糖尿病は重症化すると、網膜症、腎不全、脳卒中、虚血性心疾患などの合併症を引き起こすリスクが高い慢性疾患です。現在、日本において糖尿病有病者と糖尿病予備群は合計で約2,000万人と言われており(*2)、合併症のリスクや医療費負担の観点から、厚生労働省の策定する「第7次医療計画」においても、糖尿病は対策を講じるべき「5疾病・5事業」の1つに含まれ、発症予防・重症化予防への取り組みが要請され、具体的な数値目標も定められています。2015年には、慢性透析患者数は32万人を超え、一人当たりの人工透析にかかる医療費は月に40万円、年間総額は1.5 兆円を超えています(*3)。このうち39%が糖尿病性腎症による透析治療であり(*4)、重度の糖尿病患者数が今後も増加すると、慢性透析を要する患者数も増え、更なる医療費の増加が懸念されています。
■糖尿病とデジタル治療
糖尿病治療においては、重症化予防対策に向けた薬物治療をはじめ、患者の生活習慣の改善や前向きな療養姿勢の維持が重要です。デジタル治療は、医学的エビデンスに基づいたソフトウェアによる治療介入で、疾病の管理のみならず、予防・治療を支援する治療法です(*5)。従来の治療法に比べ、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の支援、受診する間の診療空白期間への介入支援や、蓄積されるデータによる治療法の向上が可能といった特徴を有します。
食事療法や運動療法などの生活習慣に関する治療が重視されている2型糖尿病との親和性も高いと考えられ、今回共同で開発を進めるデジタル治療支援システムにより、患者個々人にあわせた食事・運動習慣等の指導や、PHRを活用した診療のサポートを行い、糖尿病患者及び予備軍の方のQOLが維持され、重症化を防ぐことを目指します。
■今後
カテーテル治療、心臓外科手術、輸液・栄養システム、腹膜透析、輸血、細胞治療など医療に関する幅広い製品・サービスを提供し、糖尿病領域では、血糖自己測定器、世界一細いインスリン用注射針、日本初のパッチ式インスリンポンプなどを発売し、糖尿病に関する医療機器を40年近く販売し続けるテルモと、オンライン診療サービス「curon(クロン)」を4,000施設を超す医療機関に導入し、患者と医師を繋ぐ医療系アプリ開発を展開するMICINが、両社それぞれの特色を活かし、デジタル治療ソリューションの共同開発を通じ、日本の糖尿病治療における未充足ニーズの解決を目指してまいります。
*1:Personal Health Record、患者が自らの医療・健康情報を収集し一元的に保存する仕組み
*2:厚生労働省 平成28年「国民健康・栄養調査」
*3:厚生労働省保険局国民健康保険課 「平成29年 糖尿病性腎症重症化予防の取組について」
*4:日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況2018年」
*5:「Digital Therapeutics Alliance」ウェブサイトhttps://dtxalliance.org/