NEWS 最新情報

  • 2020.6.11デジタルセラピューティクス事業

    「手術患者の退院後フォローアップアプリ」を用いた実証研究を開始〜 退院後の日常生活時のPHRを活用、心臓外科手術の予後管理を改善〜

    株式会社MICIN(マイシン、代表取締役:原聖吾、以下 MICIN)は、東京ベイ・浦安市川医療センター(管理者:神山潤)、オムロン ヘルスケア株式会社(代表取締役社長:荻野勲、以下 オムロンヘルスケア)と、MICINが開発中の「手術患者の退院後フォローアップアプリ(以下、本アプリ)」を活用し、心臓外科手術後の患者の退院後予後管理を改善することを目的とした1年間の実証研究を開始致しました。

    本研究は、退院後も在宅環境で取得できるPHR(*1)を活用し、医療機関受診までの期間に生じる患者の状態変化を診療に活用する取り組みです。健康機器から取得できるバイタルデータは勿論、患者の状態や心理的な変化も本アプリ上で取得することで、より質の高い効率的な予後管理を日常の在宅環境でも実現可能か、検証を実施致します。

    フロー図

    ■実証研究の概要
    ・対象患者:
    心臓外科手術のMICS(*2)、TAVI(*3)の適用患者
    ・実施期間:
    2020年6月1日〜2021年5月31日(1年間)
    ・実施概要:
    手術前から退院後18週間までの期間に、対象患者は本アプリを活用。
    患者の健康状態や気分に関する情報を収集し、医療機関へそのデータが提供されます。
    ・具体的な手法:
    オムロンヘルスケアの通信機能付き健康機器により収集した血圧・体重・活動量のデータと、本アプリに搭載されている問診機能から、傷口の状態・体調・気分・食事状況・服薬状況等のデータを収集します。アプリを通じてこれらの患者のPHRを医療機関と情報共有し、外来診察時に主治医が活用します。

    心臓外科手術の実績があり先進的な取り組みをしている医療機関である東京ベイ・浦安市川医療センターと、在宅環境でも精度の高いPHRが収集可能な健康機器を提供するオムロンヘルスケア、オンライン診療サービスを手がけ、患者と医師を繋ぐ医療系アプリ開発を展開するMICINが、各社それぞれの特色を活かし、実証研究を進めて参ります。

    ■取り組みの背景
    心臓血管外科手術時には、MICSやTAVIという手術方式がしばしば用いられます。本術式は開胸する手術方式と比べると傷は小さく、痛みや出血も少なく抑えられるため、比較的手術後早期のタイミングで退院、社会復帰が可能です。
    他方で、病院で医療従事者からのケアを受けられる期間も短いため、患者の中には不安を抱えながら日常生活を過ごす方もいらっしゃる実情があります。(*4)医療従事者にとっても、術後限られた期間で管理を行うこと、外来の短い時間の中で患者の状態を把握することは容易ではなく、様々な工夫が必要です。
    本アプリを術後患者が利用することで、自宅で日常を過ごしながらも、主治医と自身の健康状態を共有することができ、その状態に基づく診察を受けることが可能となります。主治医側は患者の状態変化に早期に気づくことができ、患者側も在宅環境でも主治医との連携が深まることで安心感が高まり、手術後のQOL(quality of life、生活の質)の向上に繋がることが期待されます。

    ■今後の展開
    本実証研究において、患者が日常生活の中で収集したPHRによる状態変化を、主治医がどのように外来診療時に活用するか、また、患者が日常的に自身のデータをどのようにアプリから入力するか等、検証可能な点が多くございます。今後、さらに虎の門病院においても同様に申請を予定しております。
    将来的に、医師が患者の状態変化に早期に気づくことができ、必要に応じてオンライン診療なども活用しながら、専門病院のケアが日常の在宅環境まで行き届くことで、患者は退院後も安心した日常生活を送ることができる、このような未来を実現できるよう、実証研究期間は勿論、その後の製品開発等にも実証研究の結果を繋げて参ります。

    *1:Personal Health Record、患者が自らの医療・健康情報を収集し一元的に保存するしくみ
    *2:Minimally Invasive Cardiac Surgery、低侵襲心臓手術
    *3:Transcatheter Aortic Valve Implantation、経カテーテル大動脈弁植え込み術
    *4:BMC Surg. 2016; 16: 5.

GO TO INDEX GO TO INDEX GO TO INDEX